30代はご褒美ボディケア、中年女は塗り薬まみれ。色気から進化した風呂上りの「おばケア」事情【日日更年期好日】

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コクハク

7種類の薬を使い分け

 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第47話は「色気のない湯上がり」。

【日日更年期好日】

 血気も肉欲もお盛んだったあの頃。全身をシャワーで清めて、チャチャッとボディケアをして愛する人の元へすっ飛んでいった。ところが年を取るにつれて、次第に増えていく湯上がりのアンチエイジング対策。つい最近の『日日更年期好日』連載でもぼやいた。それからたったの数ヶ月で湯上がりボディケアは、さらに色気のない方向へ進化をしてしまった。

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 今年は未病、病気、更年期が続いており、どうも体調が落ち着かない。これが中年の洗礼かと脳内で咀嚼するようにはしているが、やはり疲れる。病院に行く回数も種類も増えた。総合病院で診察してもらうほどの状態ではなく、自分で判断しながら個人医院を巡るしかない。こんなときはドラマ『19番目のカルテ』(TBS系)に登場した、総合診療医の徳重先生が本気で恋しくなる。ブツブツと妄想を膨らませながら、同じように増えていくのは薬の種類だ。ふと気づくと自分の湯上がりケアが、老年化の一途を辿っていた。

 まず風呂から上がって、一目散にまつ毛美容液をつけるケアはまだ乙女心がある。その後は鼻まわりにできた『脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)』の塗り薬を2種類。どうも疲れてくると出てくる傾向にある。で、最近投入された更年期症状緩和のためのホルモン補充のジェルを腹部に塗る。日々、塗る位置を変えなければいけないので、忘れないように塗り塗り……。ホルモン補充も最近は保険適用で服用ではなく、塗布するタイプもあるのだ。

これはボディケアではなく、治療の一環

 そして、かかとと肘に尿素クリームを塗り塗り。まだ湯上がりおばケアは終わらない。

 30代でやっちまったぎっくり腰の影響が地味に残っていて、いつ再発するのかわからない小爆弾を抱えた状態が続いている。鍼灸とスポーツ外科には定期的に通っている。ドクターに「湿布だとどうもかぶれてしまう」と伝えると「最近はもっと効果のあるタイプがありますよ」と、クリームタイプの湿布薬を処方された。座業を生業にしていると、腰への負担も大きく、「ちょっとまずいな」と感じたら、このクリームを塗ってから寝るようにしている。今がそのタイミングだ。また塗り塗り。ああ、ツンとする香りが鼻につく…。

 続いて膝下にできてしまった湿疹に軟膏を塗る。どうも季節の変わり目やストレスが溜まると勃発してくる、長いつき合いの湿疹だ。ラストに全身に塗るのは、ボディクリームではなく、皮膚科で処方された保湿剤。乾燥肌なのでもう対策を始めた方がいいと、ドクターに促された。と、これで湯上がりおばケアは終了。改めて数えてみると計7種類も体に塗っている。なんだか色気も素っ気もない。何か利点があるとすれば忘れっぽい年頃になったのに順番を間違えず、コツコツと毎日継続だけは達成できている。全てが治療なのだから、当然なのだが。

 30代前半までは湯上がりケアなんて、全く縁がなかった。そんなケアがなくても、プルツヤの肌だったからだ。30代後半からいい香りのボディークリームを、自分へのご褒美に購入するようになった。そして気づくと体に塗るアイテムは全て薬になっていた。特にホルモン補充ではあるが、これも更年期だけと捉えてしばらくつきあっていこうと思う。そのうちまた香りでボディークリームを楽しむ時期も来るだろう。何より更年期ばかりを考えていると、気が滅入る。これは体が次のステージへ進むための過渡期。第二の思春期なのだ。

 そう考えていたらスマホのアラームが鳴った。いかん、いかん。ホルモン補充の錠剤タイプを服用する時間だ。

(小林久乃/コラムニスト・編集者)

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