高田馬場「大衆酒場55」もつ焼きを楽しむ若い女子たちの隣で還暦男2人が昔話に花

公開日: 更新日:

客のほとんどがアタシらの子供世代

 広くて明るい店内は長いカウンターと、ぎっしりとテーブルが並びちょっと狭苦しい印象だが、天井が高いせいか気にならない。あっという間に刺し身とナンコツ煮込みが登場。「うまいね」「うんうまい」。すい臓がんという死の淵から生還した彼の話を聞きながら気が付くと、焼酎の一升瓶(3600円)が横に。勢いで頼んでしまった。さすがにこのトシでは炭酸割りだ。飲むほどに昔話で盛り上がる。

「ずいぶんとメチャクチャやったね」

「いや、まったく」

 アタシらがはじけていたのは30年ほど前。その頃から30年間、不況が続いて、アタシらの業界も落ち込んだ。そんなことを穏やかに会話する還暦男2人。が、午後6時を回って店は満席になり、にぎやかに。外には席待ち客が列をつくっている。客のほとんどがアタシらの子供世代だ。しかも半分は女子。間違いなくうまいもつ焼きは隠れたブームになっている。それを実感するアタシ。隣の若い女子2人はあみレバとカシラを塩でやっている。イイね。

「いやあ、時代が変わったな」。少し声のトーンを上げ、店内を見回す還暦男。そこに責任者の野崎祐司さんがラストオーダーを取りに来た。「この時間はお客さま皆さん、2時間制にしていただいて」と恐縮しながら丁寧に説明してくれる。

「いやあ、うまかったよ」

 相方の言葉にうれしそうな野崎さん。話は尽きないが腰を上げることに。30年前だったら、歌舞伎町で3軒ハシゴして明け方のホテル街をさまよっていたもの。時間はまだ午後7時。健全な若者たちでにぎわうさかえ通りを千鳥足。帰宅するには手ごろな時間だ。また次回、お互いの生存確認を約束して乗降客であふれかえる高田馬場駅前で別れたアタシたちであった。 (藤井優)

○大衆酒場55高田馬場店 新宿区高田馬場3-5-4

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