夫と縁を切りたい…有名な「縁切り神社」にお参りしたら予想外の結果になった
境内をさらに奥へ。そこにひときわ人だかりのする場所がある。「縁切り縁結びの碑(いし)」と呼ばれる大きな岩だ。この岩には人が這って通り抜けられるぐらいの穴が開いている。「形代(かたしろ)」という御札に願い事を書いて手に持ったまま裏から穴を潜ると悪縁が切れ、もういちど表から潜ると良縁を結ぶと言われている。神社独特のピンと張りつめた空間の中で、びっしりと白い紙で埋め尽くされた岩の周りの空気だけ、ゆらゆらと人の”想い”が立ち上って揺らめいているような気がした。
霊験がいつ現れるのかわからないが、待っているばかりではあまりにも他力本願。私はアパートを借りて一人で生活し始めた。家を出たからには経済的に自立しなければならない。必死で働いた。昼間は事務、夜と休みの日はライターとして。
気がつけば5年がたっていた。毎日が忙しく、いつの間にか私は、金毘羅さんにお参りしたことすらすっかり忘れていた。そのことを思い出したのは、もう一緒に暮らせないと思った「夫と」、京都の町を散策していた時だった。私たちは、離婚しなかった。
5年の間に、私たち夫婦の関係は変わった。私は一人で生きていく力を手に入れた。逆に夫は、一人で仕事をしながら家事をすることのたいへんさを、身をもって知った。もう「家事なんて片手間にできること」とは言わない。休みの日には積極的に家事をする。晩御飯がスーパーの総菜でも文句を言わなくなった。


















