著者のコラム一覧
若月澪子ルポライター

1975年生まれ。ジャーナスリト。大学卒業後、NHK高知放送局・NHK首都圏放送センターで有期雇用のキャスター、ディレクターとしてローカル放送の番組制作に携わる。結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験。育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行う。生涯非正規労働者。ギグワーカーとしていろんな仕事を体験中。

「ブルーカラー・ビリオネア」には到底なれない…60代の元ブルーカラーは今無職

公開日: 更新日:

「子どもが犬と遊ぶ動画」を見て借金を抱える

 それにしても、こうした詐欺で見させられるYouTube動画って、どんな動画なのだろう。

子どもが犬と遊んでいる様子とか、自宅でパーティーをしている風景とか、ホームビデオみたいな内容でしたね。面白みのない平和な世界です」

 この不毛な「鑑賞」で蓄えた借金を返済するため、Hさんは在宅ワークを諦め、外で働ける仕事を探しはじめた。

「20〜30代のころは調理員としてファミレスで働いていた経験もあるんです。調理師免許も持っています。だから、飲食店の面接も受けました」

飲食店の厨房も人手不足のはずである。Hさんは飲食店だけでなく、倉庫作業の仕事にも履歴書を送った。しかし、62歳の再就職活動は全滅する。

「人手不足なんて言っても、採用側はえり好みしてるんですよ! 中高年に仕事はないです」

 Hさんは仕方なく年金受給を開始する。その額は月9万円ほど。退職金もないまま会社を辞め、貯金はなく、借金だけが残った62歳。踏んだり蹴ったりのHさんだが、彼の試練は終わらない。Hさんは今、妻や娘たちと断絶し、自分の部屋に籠城する「ひきこもり」状態なのだという。(後編につづく)

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