自説との対立から車で引きずった85歳が逮捕、史跡めぐりで相次ぐ迷惑行為…なぜ歴史愛好家はガイドを怒鳴るのか
維新志士ゆかりの地で、ネガティブな発言をする人も
戦国武将や維新志士に関しても注意が必要である。小説や漫画、アニメなどで抱いた人物のイメージをそのまま信じている人が多く、少しでも否定的な意見を述べると猛抗議されることがあるためだという。
抗議をするのは高齢者の男性が多いそうだが、「推し活」にハマっている若い女性も要注意という。その人が「推し」ている武将について、ガイドが“ちょっとした”ネガティブな発言をしたところ、突然泣き出されたこともあるそうだ。
中でも面倒なのが、坂本龍馬、新選組である。ファンも多いが、アンチも多いためだ。昨今、龍馬の功績を疑問視する論調がネットでも広まったせいか、ゆかりの地で「明治維新で龍馬は重要な役割を担っていないんですよ」などと言い出す人がいるらしい。思っていたとしても、ゆかりの地ではそういった発言は慎むのがマナーだと思うのだが……。
■ガイド側に問題があったとしても“攻撃”は言語道断
一方で、ガイド側にも問題があるケースもある。私は歴史ものの書籍を編集した際、とある文化財の建築を紹介したのだが、そのガイド兼管理人がとにかく面倒な男性だった。建築に思い入れがありすぎて、歴史を独自解釈した“物語”を延々と語るタイプの人だった。
彼は観光客にもそうした話をしているようだが、明らかに史実とは異なっているし、一次資料も存在せず、妄想の域を出ないものだった。現地でそういった話を2時間近く聞かされたが、監修者と相談して一切入れなかった。ところが、校正の際に、彼から自説を書き入れるように要求されたのである。
結局、監修者の意見でその建築は掲載を見送った。誰かが言い出した創作話が史実であると勘違いされ、定着してしまったケースも実際にあるため、書籍の編集の際は慎重にならざるを得ないのである。
史跡や文化財には、伝来や成立の経緯などに複数の説があるものが多い。だが、歴史を愛する者であれば、さまざまな説も含めて広い視野を持ってほしいし、ましてやガイドの多少のミスや異なる意見を責めるようなことはせず、温かく見守る程度にしておきたいものだ。腹を立ててガイドを車で引きずるなど言語道断である。
(取材・文=山内貴範)

















