誕生から60年「スナック」は日本に10万軒以上 学術研究者に聞いた「変遷と最新事情」

公開日: 更新日:

 近年、若い女性に人気の「スナック」。誕生した60年前は、若者はおろかフツーのサラリーマンも気軽には足を踏み入れられない、高級エリアにあるイケてる最先端の場所だった。とはいえ、スナックは今も昔も心のオアシス。その変遷をたどってみた。

 ◇  ◇  ◇

 スナックといえば、ある年代以上なら、会社の上司に連れられ、また2次会はスナックだった、という諸氏も多いだろう。

「スナックの始まりは、意外にも新しく、1964年の東京五輪のときなんです。前身は『スタンドバー』と呼ばれた酒だけを出す業態でしたが、五輪をきっかけに風紀の取り締まりが厳しくなり、深夜喫茶など、深夜営業が禁止されたんですね。その抜け道として、軽食(スナック)を出すという名目で営業を始めたんですよ。ちょうど60年前のこと。スナックも還暦です(笑)」

 そう語るのは、東京都立大学で教壇に立つ谷口功一教授。実は「スナック研究会」の代表でもある。

 日本に10万軒以上あるといわれる「スナック」について学術的な研究がなされていない、と2015年に研究会を発足させた。30代からスナック通いを始め、全国津々浦々、今や顔を出せば「おかえり」と迎えられるスナックのエキスパートである。

 スナックの歴史の中で切っても切り離せないものがある。それがカラオケだ。

「初期の頃のスナックは、今とはちょっと違った雰囲気でした。東京でいえば青山や赤坂など高級な盛り場にあって、イケてる最先端の場所。踊れるスペースもあり、ジュークボックスはもちろん、バンドが入ることもあったようです。70年代に入ると、『8トラ』(磁気テープ)が出てきてカラオケが定番に。その後、レーザーディスク、通信と発展しました。いわば、スナックはカラオケ文化の発祥地でもあるんです」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも