まさか小者で終わりではないだろうな【裏金議員逮捕】検察捜査の行方と今後の政局(上)

公開日: 更新日:

容疑は政治資金規正法違反だがなぜ脱税を問わないのか

 安倍派を中心とする裏金疑獄は、規正法違反の疑いで捜査が進められている。しかし、それだけでコトは収まるのか。裏金の原資は、派閥の政治資金パーティーの収入。企業団体や個人が購入したパーティー券の代金だ。そのカネの流れが収支報告書にキッチリ記載されなければ、非課税の政治資金にはあたらない。所得として申告するのが筋だ。でなければ、脱税に問われなければおかしい。

 立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)はこう言う。

「裏金事件をめぐる税法上の問題は大きく2点ある。まず法人税法違反の疑いです。パーティーを主催するのは、派閥や政治家と関連する政治団体で、おおむね『人格なき社団』として取り扱われるため、収益事業から生じた所得以外は課税されない。しかし、派閥のパーティーの収益率は9割前後に上る。実態はほぼ丸儲けで、イベント興行費と言っても過言ではありません。税率およそ3割の法人3税が課されるのは当然ですし、公益を装って私益を図る悪質性から、重加算税も課すべきでしょう。パーティー収入の半分が吸い上げられることになる」

 収益率9割超の個人パーティーをやたらと開いている西村前経産相もアウトだ。収支報告書によると、2022年のパーティーの収入は総額1億1954万円に上る。

「もうひとつは、所得税法違反の疑いです。個人の懐に入った裏金は雑所得にあたる。国会議員は歳費ほか、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)など、政治活動を支えるさまざまな費用を支給されている。必要経費は十分に充当できることから、雑所得は全額課税対象とするべき。これも重加算税を課し、ネコババしたカネの半分は徴収していい」(浦野広明氏)

 国税庁はいつになったら腰を上げるのか。インボイス制度に傾けるエネルギーを割けば、脱税摘発なんてアッという間だ。

 次は【安倍派潰しで虎視眈々、同罪なのに他派閥の勘違い】

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    日米関税引き下げは「合意文書なし」の口約束…チラつくトランプ大統領の“ちゃぶ台返し”

  2. 2

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 3

    東芝ライフスタイルが白物家電世界2位メーカー中国「美的」傘下で生まれ変わったこと

  4. 4

    トランプ大統領が熱烈支持層と対立のナゼ? エプスタイン事件めぐりMAGA派を「愚かな人々」呼ばわり

  5. 5

    リゾート開発計画に揺れる野沢温泉村の村長に聞いた「ニセコでも白馬でもない独自文化の根付く唯一無二の村をつくる」

  1. 6

    元安倍派・豊田真由子氏が「羽鳥慎一モーニングショー」で暴露!“パー券販売”の驚愕実態にSNS震撼

  2. 7

    「エムット」の商標巡り“ニアミス”騒動も…三菱UFJ銀はポイント還元率最大20%ブチ上げ預金獲得強化へ

  3. 8

    新型ダイハツ ムーヴに初試乗! スライドドア化は是か非か? 王者ホンダN-BOXと比べてみた

  4. 9

    ロック板のないパーキングって不正利用されないの? 管理・運営全国5000カ所以上のエコロシティに聞いた

  5. 10

    日銀アンケートで「1年後の物価も上がる」85%の衝撃…識者も「これ以上の節約は無理」と

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」