著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

ロピア(上)カトパンの夫が社長就任後に急成長 イトーヨーカ堂の7店舗を手に入れる

公開日: 更新日:

過去に「ブラック企業大賞候補」の報道

 その後も勢いは止まらず、ホームページによると、24年2月期のグループ売上高は4126億円。結婚後、僅か3年でまたまた倍増したことになる。

「売上高1兆円」という中期目標を持ち出した時も人気女子アナを伴侶にした過去がほじくり返された。

「カトパン夫のスーパー、過去に『ブラック企業大賞候補』に」。「週刊新潮」(21年7月1日号)が報じた。日銭商売をやっていれば、いいことばかりではない。

〈18年、ロピアの食肉部門に勤務する男性が3000円相当の精肉製品をレジで精算することなく持ち帰ったとして、同社は警察に通報、懲戒処分とした。この人は会計せずに持ち帰ったのは単なる過失だと主張。解雇の撤回などを求め、横浜地裁に提訴した〉

 19年10月、横浜地裁は男性の訴えを認め、解雇の無効と「窃盗により懲戒解雇と、その事実を公開したことに対する名誉毀損の慰謝料など77万円の支払い」を命じた。

 この事件で、ロピアは「ブラック企業大賞」にノミネートされた。

 ロピアがこれほどまでに急拡大できたのは、EDLP戦略が成功したからだ。EDLPは「エブリデーロープライス」(毎日安売り)の略。特売をせず、年間を通して同じ価格で特売することを指す。折り込みチラシが不要となり、販促費や広告に関わる人件費も削減できる。

 社名のロピアは「ロープライスユートピア」に由来する、という。

 物価の上昇が続く中、ロピアは、その後も急成長している。店頭には1キロを超える大容量の肉、具がはみ出した巻きずしなど、個性的な商品の数々が並ぶ。各売り場のチーフが「個人商店主」として大きな権限を持って仕入れたり、販売する商品の戦略を立てることができるユニークな経営を実践する。

 だが、セブン&アイHDから譲り受けた7店舗をどうやって再生させるかは胸つき八丁の難しい事業である。  =つづく

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋