著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

相次ぐ治験失敗…大塚ホールディングス「特許の壁」克服戦略の前途多難

公開日: 更新日:

 製薬大手の大塚製薬を中核とする大塚ホールディングス(HD)がジレンマにさらされている。主力薬に特許切れによるLOE(独占販売期間満了)の危機が迫る一方、次の屋台骨を担うと期待されていた新薬開発が「想定通りに進んでいない」(業界関係者)ためだ。

 3100億円──。大塚HDはLOEに伴う減収の影響額をこうはじく。特許切れが迫っているのは持続性抗精神病薬「エビリファイメンテナ」と腎臓病治療薬「ジンアーク」の2製品。前者は今年末、後者は25年にそれぞれ特許切れを迎えるが、両者で計4000億円弱を稼ぎ出す、まさに「ドル箱」(金融筋)だ。

 主戦場の米国では特許切れ薬の後釜を狙うジェネリックの普及度合いがことのほか速い。競争は激烈で、先発品はあっという間に駆逐される。市場関係者の間では「本当に3100億円程度の落ち込みで済むのか」と疑問視する向きも少なくない。

 こうした「特許の壁(パテントクリフ)」を「コア2」と呼ぶ、すでに販売を開始している2製品と、「ネクスト8」と名付けた新薬候補8品目を加えた10製品の増販などで乗り越えようというのが大塚HDの戦略だ。

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