進まない日米関税交渉が自動車業界を直撃…日本企業への影響もジワリ
「5月は輸出数量が前年比3.9%と減少(4月同11.8%)したことに加え、輸出価格が4月の前年比14.8%から21.7%と低下幅が拡大したことが輸出金額の減少拡大につながっています。交渉は長期化しそうですから、輸出金額・数量でメーカーに相当の打撃が出ると思われます」
自動車産業(9社)24年度の売上高は89.7兆円、経常利益は9.7兆円。売り上げの41.8%が輸出を占め、そのうち33.6%を米国向け輸出で稼いでいる。斎藤氏は、米国向け自動車輸出の数量、輸出価格が今後それぞれ10%低下した場合の輸出金額、売上高を試算した。
「数量が10%低下したケースでは、輸出金額は前年比3.4%、売上高は1.4%マイナスと両者に大きな差は生じません。しかし、経常利益では輸出数量が10%減少した場合、前年差では0.2兆円のマイナスですが、輸出価格が10%低下すると前年差で1.3兆円、前年比12.9%と減少幅が大きくなってきます」
さらにこう付け加えた。
「現実には5月の時点で輸出価格は21.7%低下しています。収益の減少は10%低下の推定値の約2倍に拡大していると思われます」