「300円ショップ」時代到来の背景 店舗数増加から見えてきた100円ショップ業態の苦境
ダイソーは、これら3業態を合わせた複合店としての出店を進めており、25年2月末時点でスリーピーは国内560店舗、スタンダードプロダクツは同172店舗となった。
前述のアパレル業界関係者は、「新業態店は商業施設や駅ビル内に出店している。商品はダイソーと違って安っぽさを感じさせない。品質やデザインが消費者に評価され、コストパフォーマンスの良い店と認識されている。インフレで100円ショップ業態は厳しい状態にあり、ダイソーでも高額商品を扱うようになった。新業態店は実質的な値上げ策といえる」と語る。
ダイソーは非上場のため業績を公開していないが、他社を見ると100円ショップ業態の苦戦が見えてくる。セリアの21年3月期売上高は2007億円で、営業利益は213億円であった。しかし、25年3月期は売上高2363億円に対して、営業利益は168億円となり、利益率は悪化している。
キャンドゥも20年度の売上高730億円、営業利益は15.6億円から、23年度には売上高804億円、営業利益2.4億円となり、最終的な利益は11.7億円の赤字で、25年2月期も最終赤字から抜け出せていない状況だ。
セリア、キャンドゥともに原価の上昇が主な業績悪化の要因である。低コストの海外工場で製造し輸入する100円ショップのビジネスモデルは限界を迎えつつあり、300円ショップの時代が到来している。
(山口伸/ライター)