象印がおにぎり店で見せつけたブランド力…大阪万博で来場者10万人に提供する人気ブースに
実体験は最強のデモンストレーションの場だが、失敗するリスクもある。象印は象印食堂を経営しているので、接客ノウハウは持つが、ここまでの人数の客と対峙することはなかった。通常なら注文ミスや混乱が生じやすい状況だが万博会場では大きなトラブルは報告されておらず、ブランド訴求に成功したようだ。
協力した鈴茂器工は、寿司・ご飯ロボット市場の世界的リーダー。寿司ロボットでは金額ベースで世界シェア74.1%、ご飯盛り付けロボットでは83.9%を誇るガリバー。
同社は1970年代後半の持ち帰り寿司ブーム時に寿司職人不足を背景に寿司ロボットを開発。以降、スーパーや弁当チェーンの厨房を支え、国内外で「ご飯を扱う自動化機器の代名詞」となってきた。現在では北米や欧州の日本食レストランでも導入が進み、和食ブーム拡大の裏方として存在感を増している。
和食は13年にユネスコの無形文化遺産に登録されて以降、世界的に注目度が高まっている。農林水産省によれば、23年の和食関連市場は世界全体で10兆円規模に拡大しており、今後も成長が見込まれる分野だ。その中核を担う「米食文化」を支える技術を披露した点で、今回の象印と鈴茂器工の試みは単なるイベント提供を超えた意味を持つ。