Suicaペンギン卒業で新決済「teppay」導入へ…JR東日本の最終的な野心は“スーパーアプリ”化
しかし、teppayが始動すれば様相は変わる。基盤となる交通系機能に加え、将来的には改札の顔認証やマイナンバーとの連携も企図されており、真のスーパーアプリに近づくことになる。
生活分野全般へのビジネス拡大は、24年6月に同社が公表した中長期戦略ですでに語られている。10年後の33年度には、営業収益・営業利益を2倍にするという、かなり野心的なシナリオだ。
背景にあるのは「鉄道外収益」確保への焦燥感だ。少子化で内需が先細る中、鉄道各社にとって生き残りをかけた共通の課題となっている。
「同じJRでいえば、東海道新幹線や山手線のような“ドル箱”を持たないJR九州が、鉄道外で大きく稼ぐことに成功した先例として有名です。同社の鉄道売り上げは全体の3割ほどで、不動産、ホテル、流通、外食などの鉄道外収益の方がはるかに大きいのです」(前出の幹部)
鉄道外収益への前向きな姿勢は、株価にも表れている。
「JR東日本と西日本を比較すると、先の中間決算自体は冴えなかった東の株価が好調な一方、決算が良かった西は低迷しています。その理由のひとつが、鉄道外収益確保への積極姿勢への評価にあります」(同前)
実際、JR東日本の株価は、年初は3000円ほどだったが、現在では4000円台へと、右肩上がりで推移している。そこへきてのSuica刷新発表であり、さらなる上昇も期待できそうだ。
(ジャーナリスト・横関寿寛)


















