(10)年金繰り上げ反対論を論破する
12年弱が長いかどうかは、人によって感じ方が違うだろう。しかし、確かなのはその12年弱の間、繰り下げをした人は増えた年金をもらって生活できることだ。
例えば5年遅らせた人は、42%増えた年金で余裕しゃくしゃくのリタイア生活を送ることができる。そんな「QOL(生活の質)」の高さをまったく考慮することなく損得論を展開するのは、いささか均衡を失しているのではあるまいか。
また、繰り下げで年金額が増えてしまうと「税金や社会保険料が高くなって損」とする意見も強い。社会保険料などは具体的に負担増の金額がわかるため、最も説得力のある反対論といえるかもしれない。
年金額が多くなると、国民健康保険や介護保険の保険料が上がり、所得税・住民税も多く取られるのは事実である。
しかし、これも生活の質の向上を無視している考え方だ。かつて筆者が東京都区部で試算したところ、5年繰り下げて42%増えた年金にかかる税金や社会保険料は確かに増えたが、それらを支払った後でも手取り額は65歳時に比べて3割強もアップした。


















