韓国訪問で実感 積み重ねられたアート政策の厚み
こうした姿勢は、美術館の中だけでなく、街を歩いていても実感できる。ホテルやオフィスビル、商業施設の前には、大型の彫刻やオブジェが実に多い。東京でも再開発ビルの公開空き地などで屋外アートを見かけることはあるが、ソウルではその数が明らかに多く、街全体が屋外美術館のようだ。
ソウルの不動産関係者は語る。
「韓国では1972年から、一定規模以上の建築物に美術作品の設置を促す制度が始まった。90年代半ばには事実上の義務となり、現在ではホテルやオフィスビル、商業施設などの新築時には、美術作品を設置するか、それに代わる金銭的な負担をする仕組みになっている。街角にアートが多いのは、ディベロッパー(開発業者)の趣味ではなく、半世紀以上続く文化政策の積み重ねだ」
この制度があるおかげで作品を制作するアーティストはもちろん、選定・仲介するギャラリーやエージェント、設置や維持管理に関わる専門業者まで、建築・不動産投資の一部がアート業界へ流れる仕組みが生まれたというわけだ。韓国アートの活況には、こうした土壌もあるという。


















