東京・赤羽、先行する第1地区に110メートル級、せんべろの1番街が丸ごと潰される危機
昨年5月の住民説明会で推進派はわずか1人
JR赤羽駅東口を出てスズラン通り方面に向かうと、大戸屋は営業しているが、東本通り手前の一角は閉店が目立つ。
すしざんまいが地下で店を構えるビルの1階にあったプロマートは近くのビル3階に移転し、吉野家は4月末で閉店した。この一角の手前は、約400メートルにわたって飲食店や八百屋、魚屋、薬局などがひしめく商店街.1番街だ。
そんな赤羽の繁華街にあって、明かりが消えてうら寂しい様子は、再開発が近いことを印象づける。
ここは、「赤羽一丁目第一地区」の再開発予定地(約0.5ヘクタール)で、2016年に準備組合が設立され、24年に東京都から組合設立認可を受けた。
準備組合の発足から設立までおよそ8年かかったように、合意形成に手間取ったことが見て取れる。
地元不動産業者がこう言う。
「東口の再開発は、飲食店を中心に反対する声が多いんです。店主からも常連客からも『昭和の雰囲気をなくすな』『赤羽らしさをいつまでも残してくれ』という要望が強くてね。これからもいろいろな再開発計画が出てくるでしょうが、すんなり決まることは考えにくいですよね」
昨年5月に開かれた住民説明会には、地権者約200人が参加。そのうち30人ほどが発言し、タワマン推進の内容を語ったのは1人だけだったという。
赤羽一丁目第一地区では、地上26階、高さ108メートルのタワマンが建設される予定だ。敷地面積は約2890平方メートル、延べ床面積は約3万3340平方メートルで、1~3階に店舗が入り、地下1階と4階が駐輪場、5~26階がマンションだ。当初、29年6月の工事完了を目指していたが、32年9月に延期され、ここにきて工事費の高騰などを受け、事業計画の再調整と工事期間の精査を行っていることが明らかになった。工事完了がさらに遅れそうな雲行きだ。
赤羽駅東口の再開発事業は、第一地区だけではない。前述した1番街周辺は、すでに設立されていた第二地区と第三地区の再開発準備組合が24年に合併。中央地区再開発準備組合として、28年度の都市計画決定を目指し、再開発計画を進めている。中央地区は約1.2ヘクタールと第一地区の2.4倍の広さ。詳細は不明だが、ここでもタワマン建設が予定されている。
もし2地区の再開発が実行されると、1番街などせんべろで親しまれるエリアが丸ごと潰されることになるが、事態をややこしくしているのが、中央地区の北側に接する赤羽小学校の再開発だ。1876年に開校し、施設の老朽化で、建て替えが急務となっている。
前出の不動産業者が話を続けてこう言う。
「北区は赤羽小学校単独での建て替えのほか、小学校を再開発エリアのビルに移転させる計画、さらに再開発予定地2地区から南側にある赤羽公園に移す計画も検討しているようです。赤羽小学校の校地は約1万2200平方メートルに及び、大手の不動産会社やディベロッパーにとっては、その広大な土地は魅力でしょう。しかし、区の未来を担う子供たちの教育の場である小学校の建て替えを再開発事業とからめることに強い抵抗感を抱く住民がいるのも事実。赤羽小学校の改築方針が、中央地区の再開発事業に極めて微妙な影響を与えているだけに、一筋縄ではいかないのです」
東口駅前で再開発事業が計画されているのは、さまざまな事情がからんでいる。この2地区は老朽化した低層木造住宅が密集し、旧耐震基準の住宅が7割に上る。防災や耐震性に問題があるが、道が狭いため、万が一のとき、緊急車両の進入や避難が妨げられるリスクも残る。さらに低地であるため、近くを流れる荒川の氾濫時は、0.5~3メートルの浸水被害が想定され、水が2週間以上引かないエリアもあり、区のハザードマップでは、早期の立ち退き避難が必要な地域が再開発重点地区と重なる。
こうしたことから区は23年7月、「赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画案」を決定。再開発を進めることになった。
赤羽駅東口の現状を踏まえると、再開発そのものは正しいのだろうが、反対派との対立を受け、区の対応も揺れる。


















