J視察のハリル監督不満 「もう少しやる気、力強さを」の真意

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「闘争心の欠落は農耕民族の遺伝子だけが原因ではありません」とスポーツファンの松野弘氏(東京農大客員教授)がこう言った。

サッカーはブルーカラーのスポーツとよくいわれます。確かにアメフトや野球などとは違い、ボールひとつと、ちょっとした広場があればできる。南米やアフリカなどの貧困層の若者たちにとっては、ハングリーさが上達のモチベーションになっていることも否定できません。人を蹴落とさなければ自分の暮らしはよくならないという環境に置かれていれば、隠れて反則もしますよ。その点、日本人は小さな頃からスポーツで成功しなければ飢え死にするという国ではありません。ハングリー精神というのは使い古された言葉ですが、例えば大相撲の外国人力士がまさにそう。カネを稼ぐ、いい暮らしをしたいという気持ちが闘争心、向上心の原動力なのです」

 ハリルホジッチは1952年生まれ、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身の62歳。旧ユーゴの民族間紛争は激しく、ベスト8に進んだ90年W杯で選手たちはPKを失敗しようものなら殺されるという危機感をもってプレーした。ハリルホジッチが現役引退後の92年、死者20万人、200万人もの難民を出したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が始まり、護身用の拳銃を誤射して負傷。荒らされた自宅を手放してフランスに移住した経緯がある。そんな苦労人だけになおさら、日本人選手の動作やメンタリティーが物足りなく映ったに違いない。

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