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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

シュツットガルト浅野拓磨 「スピードは独でも通用する」

公開日: 更新日:

 1月末にベルギー1部ヘントに移籍したFW久保裕也と並び、快速FWの浅野拓磨は2016年リオ五輪世代の中で数少ない日本代表定着組となっている。名将ベンゲル監督の目に留まって16年7月、プレミアの強豪アーセナルに引き入れられた。しかし、就労ビザの基準をクリアできず、ドイツ・ブンデスリーガ2部で武者修行することに。「自分は、プレミアの強豪の一員という自信を持ちながら、ドイツ2部で学ぶべき立場でもあります。勘違いすることなく、常に目の前のことに100%ひたむきに頑張らないといけません」と自戒を込めながらも、ヤル気に満ちあふれている22歳の若きストライカーをドイツで直撃した。

 ◇  ◇  ◇ 

 昨年9月に幕を開けた18年ロシアW杯アジア最終予選。初戦(1日)の相手UAEに苦杯をなめた後、敵地バンコクで行われたタイ戦(6日)に先発した浅野は、値千金のダメ押し弾を挙げたことで注目度が一気に高まった。その3日後。9日のハイデンハイム戦で新天地デビューを果たすと20日のブラウンシュバイク戦で初アシストを、そして10月30日のカールスルーエ戦で初ゴールを記録する。その間、ルフカイ監督からヴォルフ監督に指揮官が交代する混乱もあったが、浅野は主にサイドアタッカーとしてコンスタントに起用されて、前半戦はリーガ13試合2得点4アシストとまずまずの数字を残した。

「最初は相手の寄せの速さ、グラウンドの問題で苦労しました。特に(スリッピーな)ピッチ環境には戸惑いました。切り返しにも気を使い、パスやトラップも難しいものがありました。それでも自分の特長《スピードを生かしたプレー》は、ドイツでも通用するなと感じました。でも、前半戦の2得点という数字には、少しも満足できません。レンタルで来ている自分には(アーセナル復帰という)明確な目標があります。それだけに、シュート一本一本にこだわりを持ってやっていかなければいけないと思います」

 冬のリーグ中断期に浅野は、神妙な面持ちでこう話してくれた。

 中断明けの1月29日のザンクトパウリ戦も左MFで先発フル出場。後半戦も順調な一歩を踏み出したが、1月の移籍期間に左サイドを主戦場とする18歳のクロアチア人FWブレカロが加入。浅野の強力なライバルになると目されている。

「監督からは『中盤でボールを受けてパスに結び付ける仕事もしてくれ』と言われています。日本では、あまりそこを意識したことがなく、動き出しの部分ばかりを高めてきましたが、ここでは受け手も出し手も両方やらないといけない。チームメートからの信頼も高まっていると思うので、それをより深めていくことが大事だと思います」

 こう話す浅野は、何よりもチームにとって不可欠な戦力になろうと躍起になっている。

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