16連敗で脱出…ヤクルト21人が“地獄の21日間”を振り返る
「連敗中は試合後の疲れがすごかった。気持ちを切り替えよう、盛り上げようとは思うけど、ロッカールームの雰囲気は明らかに暗かった」。2日のDeNA戦に勝利し、リーグワースト記録に並ぶ連敗を16で止めたヤクルトの選手からは、こんな声が聞かれた。実に21日ぶりとなる勝利で、長い長い夜が明けたヤクルトナインはひとときの歓喜に沸いた。白星から見放された21日間、小川淳司監督(61)は自宅から球場へ通うルートを何度も変えたり、神社へお参りしたりした。野手最年長の青木宣親(37)は11連敗した翌5月27日に小学生以来という長さ2ミリの丸刈りに。体を張ってチームを盛り上げたが、選手、コーチ、裏方はいかにこの「地獄の21日」を過ごしたのか。計21人に直撃してチームの苦悩に迫った。
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五十嵐亮太とならんで投手最年長の石川雅規(39)は甲子園の遠征中、調整のためにチームに帯同。宿舎ではひとりで過ごすことを選んだ。
「ルームサービスを頼んで部屋にこもっていました。ただ、何をしていても野球のことを考えてしまう。他のみなさんと同じように、仕事の失敗は仕事でしか取り返せない。早く勝ちたいと思いすぎてしまうんです」
雄平(34)はその遠征中、7連敗した22日の阪神戦(甲子園)後、村上を誘って焼き肉を食べに出かけた。
「普段、遠征先では外に出ないんですけどね。ムネ(村上)もちょうど行きましょう、って言ってくれて。一人で部屋にこもっていると思いつめたり、考え過ぎたりして暗くなっちゃうので、あえて外へ出るようにしました」
その日は九回に1点差に詰め寄るも、2―3で敗れていた。あと1本打っていれば……。肉を頬張り、次に向けて気持ちを切り替えようと思っていたが、野球のことが頭から離れなかったという。
食事に同席した村上宗隆(19)はホームゲームの際は連日、正午からの早出練習に始まり、試合後の素振りを欠かさない。青木ら先輩が神宮のベンチ裏に清めの塩をまく姿を見て、それでは足りないと思ったのか、体に塩を塗り込んで打席に立った。
「雄平さんに連れて行っていただいたおかげで、試合の反省もできましたし、打撃のことも話せて、自分の中で整理ができました」と先輩に感謝した上で、「打ったからとか、打てなかったからではなく、毎日毎日、変わらず自分のやるべきことをやって、いい結果が出るように頑張る」と、一時は4番を任された重圧と向き合った。