先場所V朝乃山をKO 白鵬が稽古で繰り出した“右張り手の罠”
必殺の「右」が炸裂した。
1日、横綱白鵬(34)の元に、先場所優勝力士の朝乃山(25)が出稽古に訪れた。白鵬は快く受けて立つと、11番。最初の一番こそ朝乃山が押し出したが、その後は白鵬の独壇場。最後は強烈な右張り手から上手投げで転がし、9勝2敗という結果だった。
投げ飛ばされた朝乃山は起き上がれず、「脳振とうのようなもの」と、張り手のダメージが大きかったことを明かした。本場所で当たる相手を稽古でぶちのめし、恐怖心を植え付けるのは横綱の常套手段。白鵬に限った話ではないが、なにせ先場所休場したばかりだ。横綱にとっても序盤戦、いわゆる「立ち上がり」は重要。そこで初顔合わせとなる朝乃山に勝てるよう、布石を打ったのだろう。
ある親方は「今日の稽古を見たわけではないが」と前置きして、こう話す。
「この一発で、朝乃山は白鵬戦での立ち合いに慎重になるでしょうね。先場所の朝乃山は立ち合いからぐいぐい前に出て、相手を押し込む相撲が功を奏した。しかし、白鵬は立ち合いの張り差しも武器にしている。もし、本場所で朝乃山の脳裏にこの日の張り手がよぎれば、立ち遅れることもあるかもしれない」
白鵬は以前から朝乃山との稽古を熱望し、朝乃山がそれに乗った形となった出稽古。白鵬にすれば、してやったりだろう。