著者のコラム一覧
織田淳太郎スポーツライター

1957年生まれ、北海道出身。スポーツライターとしてノンフィクション、小説の両分野で幅広く活躍。審判を主人公にした小説「ジャッジメント」のほか、「トレーナー」「捕手論」「コーチ論」「巨人軍に葬られた男たち」「もう一度あるきたい」「論争・長嶋茂雄」などの著書がある。

スタメン起用してくれない 西本幸雄監督に投じた不信任票

公開日: 更新日:

「代打でホームランを打つなど結果を残していたけど、当時の西本(幸雄)監督がわしをスタメン起用してくれない。だから、西本監督が選手相手に自分の信任投票をやったときも、わしは不信任のほうに入れたよ(笑い)。一軍で4打席立つのが目標やったし、最初から代打でいいと思っていたわけやない。とにかく、誰よりも遠くに飛ばすバッティングを見せつけたら、監督も納得して4打席立たせてくれるやろう、と」

■スペンサーのメモ

 転機はシーズン3本の代打本塁打を記録した70年に訪れた。高井さんの「唯一」のポジションである一塁のレギュラーだったD・スペンサーが、何やらノートにメモをしているのを見かけた。通訳に聞いてみると、相手投手の癖を書き込んでいるという。

「なるほど」と、思った。

「やはり、人と違うことをやらんといかんということか。わしも徹底的に研究してやろう」

 このときから高井さんは、スパイさながらの隠密行動をとるようになる。球場入りすると、すぐに風の向きを確認。試合前の打撃練習では風の向きに応じて、有利な方向へ飛ばすことだけに熱中した。試合中はブルペンにフラッと顔を出すと、ブルペンキャッチャーを務める。

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