著者のコラム一覧
平井隆司デイリースポーツ元記者

1942年、大阪府出身。旅行会社に就職するも4年で退社、デイリースポーツへ。阪神の担当記者として数々の事件や騒動を取材。デイリースポーツ編集局長やサンテレビ常務など、神戸新聞グループの主要ポストを歴任した。著書に「猛虎襲来」「阪神タイガース『黒歴史』」。

本物のタニマチは半人前の若いやつらに夜の遊びは教えない

公開日: 更新日:

 岡田の耳は地獄耳だ。二軍選手のスター気取りは、すぐわかる。情報に強い。

「若いやつらは自分の魅力で呼ばれていると錯覚する。タイガースの看板がなけりゃあ、平凡な選手よ。タニマチが悪い?選手が悪い? そんなもん、本物のタニマチなら、若いやつらに夜の遊びは教えない。タイガースは人気があるから、チヤホヤされて、みな、歩く道を間違える。ニセ者のタニマチが選手を潰すんよ。だから激励会に出たからといって、選手も有頂天になったらあかん。それがわかってない。球団の教育? そら必要と思うけれど、最後は選手の自覚よ」

 先の若き外野手は激励会の翌年の秋、戦力外通告を受け、プロ野球の舞台から去った。

 巨人軍の都合、江川卓のわがまま、そこにコミッショナーまで加わり、3者の陰謀(1対1の交換トレード)で江川卓のいけにえの形で阪神の選手になった小林繁は、絵に描かれたように悪質なタニマチに人生を翻弄された。

 阪神ファン、いや、世の野球ファン、いや、世の常識的な人は小林繁を「悲劇のヒーロー」と哀れんだ。

 移籍1年目に、己の人生を急変させた巨人軍から8勝(0敗)。江川以外のだれもが留飲を下げたが、この悲劇のヒーローが、哀れ、坂道を転び、哀れ、破綻の人生を送り、ついには……死を迎える。 =つづく、敬称略

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