菅野と涌井にも異変 コロナで試合減も投手の肘は崩壊寸前

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前腕が張る

 実際、投手からは「前腕が張りやすい」と訴える声が少なくない。パ球団のトレーナーがこう言う。

「湿度が高く、雨が多い梅雨の時期に開幕したのが原因とみています。過密日程の中で試合消化が優先され、雨中の試合も少なくない。投手は乾燥している春先から徐々にボールを指に馴染ませていくものですが、特に開幕からしばらくの間、投手はボールが滑ったり抜けたりしないよう、普段よりも強く球を握り、普段よりもより力を入れて腕を振るなど、かなりの神経を使って投げていました。練習、実戦不足で万全な状態で開幕を迎えることができなかったのに、いざ試合となるとアドレナリンが出る。思ったより球がいかず、必要以上に力が入る。試合数は120試合と少ないですが、間違いなく投手は例年以上の負担を強いられています」

 メディカルトリート代々木治療室院長でスポーツ障害が専門の若月順氏が言う。

「指や手首に力が入れば、前腕から肘にかけての筋肉である屈筋群に負担がかかる。屈筋群は肘の内側から出ている筋肉で、手首を曲げる動作をつかさどる。手首にある2本の腱は肘の内側に向かっています。また、肘の外側にある回内筋は、前腕全体を内側に曲げる筋肉。投手は腕を振り切る際に使うため、ここも例年以上に疲労がたまりやすいでしょう。これら、肘にとって重要な筋肉のパフォーマンスが落ちた状態で投げ続ければ、肘の内側にある靱帯に負担がかかり、故障につながる可能性が考えられます」

■来季にも影響

 過度な負担によって疲労が蓄積すれば、来季にも影響を及ぼしかねない。前出の若月氏が続ける。

「ただでさえコロナ禍の終息が見通せず、来季以降のチームの活動をきちんとできるかどうかは不透明です。今季終了は開幕が延期されたことで11月までずれ込む。仮に予定通り来年2月にキャンプがスタートすれば、肩肘を休める期間が短くなる。これは野手にも言えることですが、コンディションを整えるのが難しい上に、若手選手の技術練習の量もどうしても少なくなることで成長の妨げになるかもしれません」

 コロナ禍がじわじわと投手をむしばんでいることは間違いない。

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