監督やコーチは何よりコミュニケーション能力が求められる

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 サイ・ヤング賞候補をいっぺんに2人放出した直後でもワールドチャンピオンに輝いてしまうほど選手層も厚いということだ。

■新手法を理解し信じる球団分化

 一方のレイズ。こちらは万年チーム総年俸が最下位付近をウロウロしている、昔も今もあまりお金のない球団。“安かろう弱かろう”の球団の転機は05年、野球とは縁のない金融界出身のスチュアート・スタンバーグ氏が実質のオーナーとなり、球団社長にマット・シルバーマン氏(後の編成部長)、編成部長(いわゆるGMに近い役職)にはアンドリュー・フリードマン氏、そして翌06年には監督にジョー・マドン氏を迎えチームのカルチャーを刷新した頃である。“安いけど強い(SpendingLess,WinningMore)”チームを目指し、お金がないなら頭を使うことでチームの変革を進め、ついに08年には初のワールドシリーズ進出。その後も10、11、13、19年とプレーオフに進出、今年は12年ぶり2度目のワールドシリーズ進出となった。

 レイズが目指したのは、まさに先にドジャースについて述べたことそのもの。選手の獲得、育成段階からデータ分析を活用し、かつ分析から導き出されるユニークなアイデアや作戦を選手に理解させ実行に移すことだった。中でも最も重要視したのはそれを実行する選手にしっかりと理解させるため監督やコーチらにコミュニケーション能力を求めた点だ。旧態依然のしきたりややり方が色濃く残るメジャーの世界に新しい手法を突き付ける。そのためにはフロントから選手一人一人に至るまでがそれを理解し、信じる球団文化をつくり上げることが不可欠だった。

 こうして築き上げられた「レイズ文化」がいま、メジャー球団で脚光を浴びている――。 =つづく

 (米紙コラムニスト=ビリー・デービス)

【連載】メジャー2020「データ野球」の内幕

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