IOCのご都合主義また炸裂 “手のひら返し”で森会長バッサリ

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 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が辞任に追い込まれた。決定打のひとつになったのが、国際オリンピック委員会(IOC)の手のひら返しだ。

 森会長の女性蔑視発言を受け、IOCは4日に「森会長は謝罪した。問題は決着したと考えている」との声明を発表したが、国内外からの批判が収まる気配を見せないとなるや、態度を一変。9日に「森会長の発言は完全に不適切」と新たな声明を出し、「多様性、男女平等はIOCの基本的な価値観。発言はIOCの公約や(改革指針の)アジェンダ2020に矛盾している」とバッサリ切り捨てたのだ。

「IOCとの強力なパイプを誇示していた森会長からすれば、ハシゴを外された格好。辞任を決断せざるを得なくなった」(組織委関係者)

 朝日新聞によれば、複数の国内の大会関係者から「IOC得意の手のひら返しだ」との恨み節があがったそうだが、気持ちは分からなくはない。

 IOCは昨年3月の理事会で「東京五輪を予定通り開催する」と決議しながら、その5日後に史上初の延期を発表。その前には、マラソン・競歩の会場を開催都市の東京都に事前の相談もなく、一方的に札幌への変更を決めた。それまで、300億円超という巨費を用意した東京都の暑さ対策を手放しで評価していたにもかかわらずだ。

オリンピックの終わりの始まり」(コモンズ)などの著書があるスポーツジャーナリストの谷口源太郎氏がこう言う。

「森発言に対する今回のIOCの対応にしても、メディアからの批判が拡大したというより、米放送局のNBCとトヨタを筆頭とする企業が森会長にNOを突き付けたことが大きい。NBCは2014年のソチ冬季五輪から32年夏季大会までの放映権料を約1兆3000億円で買っているIOCの大スポンサー。トヨタもIOCと10年2000億円超といわれる破格のスポンサー契約を結んでいる。IOCの朝令暮改はつまり、カネのためです。1984年のロサンゼルス五輪以降、商業主義に変質したIOCは金権体質にまみれている。『アスリートファースト』をうたいながら、今夏の東京五輪も7月から8月にかけての酷暑のもとでアスリートを生命の危機にさらしながら行われる。巨額の放映権料を払うNBCの都合を優先するからです。IOCのご都合主義の最たる例ですよ」

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