YouTuberレッスン動画ばかり見るとゴルフが下手になる理由

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【その1】動画を見て理解した気分になる

 スマホでYouTubeにアクセスすれば、いつでもどこでもゴルフレッスン動画を見ることはできるが、メリットばかりではない。

 検索すればあらゆるジャンルのレッスン動画を無料視聴できるということは、当然のことながら練習でボールを打つ時間よりもYouTubeを見る時間の方が増えてくる。

 クラブを手にして1時間練習するよりも、YouTubeを3時間見てしまうことになりかねないのである。

 どの動画も懇切丁寧にスイングづくりについてレクチャーしているが、動画を見れば見るほど「分かった」気持ちになり、「分かる」=「できる」という錯覚に陥るのである。こうなるとボールを前にした時、頭の中は「分かった」ことだらけ。結果、テークバックはこう上げて、トップはこんなふうに、ダウンスイングはこの位置にシャフトを持っていく……。やることだらけで、クラブをタイミング良く振ること、リズミカルにスイングすることができなくなってしまい、操り人形のようなぎくしゃくした振り方になることはあっても、プロのようにスムーズなスイングになることはまずないのである。

 YouTubeの動画で飛行機の操縦を見て分かったからといって、素人が飛行機を操縦できるわけではない。ゴルフスイングもしかり。スキル(技術)アップに必要不可欠なのは「分かる」から「できる」へのステップアップであるが、これをYouTube視聴だけで成し遂げるのは極めて難しいのである。

【その2】スイングの一部分だけを変えてしまう

 YouTube動画は見られてナンボの世界。このためアクセス数を稼ぐために「最新」とか「これさえやれば飛距離が伸びる」といったうたい文句をタイトルにしているコンテンツも数多い。

 YouTube動画で無料で見られるレッスンには、理にかなったレッスン、欧米の最新理論のレクチャーも数多くある。これらの動画の内容はいずれも理にかなっていると思うが、YouTubeだけを見て、スイング中のある一部分だけ、例えばダウンスイングでシャフトを寝かせるとか、はやりのシャローイングだけを取り入れようとするとか、地面反力だけをやろうとするのは非常に危険である。

 たとえ癖や欠点があるスイングであっても、手打ちだと思えるようなスイングであったとしても、全体としてのバランスが取れていればショットはそれなりに安定する。

 しかし、ある部分だけをガラッと変えてしまうと全体のバランスが崩れてしまうからだ。

 例えるならば、ゴルフスイングはジグソーパズルと同じ。ひとつのピースの形状をガラッと変えてしまったら、ジグソーパズルは完成させられない。これと同じで、ゴルフスイングもマイナス要素とマイナス要素の組み合わせでも結果的にプラスになっている人の場合、そこに新たなプラス要素が加わると、途端にスイング全体が成り立たなくなる。

 プロのスイングの良いところだけを取り入れようとするのは百害あって一利なし。動画のレッスン内容がどんなに良くても、つまみ食いするかのようにスイングのある部分だけを変えようとすると、全体のバランスが崩れてしまうのは避けられないのである。

【その3】情報量が多すぎてクラブを振ることを忘れてしまう

 スマホが普及してから劇的に情報量が増えている。ゴルフ関連のYouTube動画においても情報量は劇的に多くなり、ゴルフ雑誌の100倍以上のレッスンにアクセスできるようになっている。

 情報量の増加は良いことばかりではない。

 ゴルフスイングにおいては、どのレッスンがプラスかマイナスなのかの判断をしなければならない。加えて、自分の役に立ちそうなアドバイスを収集していくと、頭の中がアドバイスだらけになる。

 結果、アドレスではこうして、テークバックはこう上げて、トップはこの位置に、ダウンスイングはこんなふうに……とチェックポイントを気にしながらスイングすることになりかねない。

 ゴルフは構えてテークバックを開始してから、インパクトを迎えるまでの時間はわずか1秒ちょっとしかない。

 その短い時間の間に、チェックポイントがいくつもあると、肝心のリズムとタイミングが悪くなるのは避けられない。

 ゴルフスイングは見た目の形が良くなったとしても、リズムとタイミングが悪いとクラブをスムーズに振ることはできないし、ボールを正しくとらえることも難しくなる。形が良くなったからといってもスイングのリズムが悪いと、ナイスショットは増えず、ミスショットが増えてしまうのである。

 YouTubeの人気動画レッスンは琴線に触れるフレーズや洒脱なトークがあふれている。楽しくて聞きやすいからついつい見てしまうが、ミイラ取りがミイラにならないように注意していただきたい。

(スイング研究所・マーク金井所長)

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