バイデン大統領が五輪欠席を決めた「3つの理由」菅首相ラブコール不発は身から出た錆

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 東京五輪まで3週間余り。バイデン米大統領が開会式への欠席を正式発表。代わりにジル夫人の出席が検討中だ。国家元首が出向く印象の強い開会式だが、米国は直近でも18年の平昌冬季大会にペンス副大統領、16年リオ大会はケリー国務長官が出席するなど代理人を派遣してきた。

 それでも4月の首脳会談で菅首相から直接ラブコールを送られたバイデン欠席の真相は気になる。「3つの理由があります」とは国際政治経済学者の浜田和幸氏だ。こう続ける。

「1つ目は国内事情。先月26日のオハイオ集会で、トランプ前大統領が改めて昨年の選挙は不正で勝利を盗まれたと主張し、数千人の支持者を沸かせた。トランプを勢いづかせれば来年の中間選挙で共和党が勝利し、政権運営に打撃となりかねない。そのため、バイデンは民主党候補の応援に国内を駆け回り、東京に来る余裕はないのです」

 次はジル夫人の魅力だ。英語教師として博士号を持つ知性派でファッション誌の表紙を飾るほどセンス抜群。ユーモアを交えた会話もうまい。好感度の高いファーストレディーを五輪に送り、世界に向けた米国のイメージアップを図る狙いだ。

 しかも、東京五輪は各国首脳の随行員を40人までに制限。大統領来日の場合はその数では収まらないが、ジル夫人なら事足りるという。

「ヨシは長くはもたない」

 3つ目は新型コロナへの警戒心だ。日本のワクチン完了者はまだ総人口の1割程度。接種が進む米国にすれば「危険な国」で、バイデンは78歳の“後期高齢者”だ。既に接種を終えたとはいえ、感染増加中の東京には行かない方がベターとの判断だ。菅首相との会談でも五輪開催に対し「あらゆる公衆衛生対策をした上で進めていくことを支持する」と伝えていた。期待がかなわなかったのは「衛生対策」をおざなりにした菅首相の自らまいた種だ。

「バイデン政権は菅首相に協力しても、米国内の雇用投資が増えるわけではないと考えています。また五輪後の感染状況次第では菅政権の支持率が急落し、秋の衆院選には勝てないかもしれない。バイデンは『ヨシは長くはもたない』とクールに分析しているのです」(浜田和幸氏)

 菅首相が再び直接会って「ジョー」と呼べる機会はもうなさそうだ。 

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