著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ある代理人の死…駅伝ケニア留学生の生みの親の功罪を検証すべき

公開日: 更新日:

 今週末に行われる全国高校駅伝で、ケニア留学生が脚光を浴びたのは1993年。仙台育英が男女2人ずつ留学生を配置して史上初の男女アベック優勝を達成した。留学生を紹介(斡旋)したのが小林氏で〈関西からがよくて海外がダメなはずがない〉……しかし、それは屁理屈で、高校生は卒業してもケニアに戻らず、日本の大学、実業団へと進む。15歳前後の若者にそこまでの自己責任を問えるかーー大人、すなわち受け入れ側の線引きが求められるはずだ。

■不法滞在に金銭問題

 高校から実業団まで100人近いケニア人ランナーがいる現状に、日本長距離界の答えは出ているだろう。いまや小林氏以外の“コーディネーター”も現れ、当然ながら不法滞在、金銭問題も発生している。代理人が福岡国際マラソンなどにアフリカから多くの招待選手を斡旋し、日本の長距離界に一見華やかな影響を与えたのは確かだ。では、何が変わったか。びわ湖毎日も福岡国際も疲弊したまま幕を下ろした。代理人、賞金、厚底シューズなど、スポーツを取り巻く環境はさまざまに変わる。だが、環境は変わってもマラソンの42.195キロに変わりはない。

 福岡国際の再開を模索する動きがあるが、急ぐことではない。陰の人物、代理人の功罪を検証してからの話だろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党が消せない“黒歴史”…党員がコメ農家の敵「ジャンボタニシ」拡散、農水省に一喝された過去

  2. 2

    極めて由々しき事案に心が痛い…メーカーとの契約にも“アスリートファースト”必要です

  3. 3

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  4. 4

    ドジャース大谷翔平がついに“不調”を吐露…疲労のせい?4度目の登板で見えた進化と課題

  5. 5

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  1. 6

    清水賢治社長のセクハラ疑惑で掘り起こされるフジテレビの闇…「今日からシリケン」と“お触り続行”の過去

  2. 7

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育

  3. 8

    千葉を「戦国」たらしめる“超過密日程”は今年の我が専大松戸に追い風になる手応えを感じています

  4. 9

    趣里はバレエ留学後に旧大検に合格 役者志望が多い明治学院大文学部芸術学科に進学

  5. 10

    参政党が参院選で急伸の不気味…首都圏選挙区で自公国が「当選圏外」にはじかれる大異変