大谷が早くもメジャー通算101号! 日本人最速記録を生んだ「実父仕込みの心技体」

公開日: 更新日:

「大きい数字なので励みにしたい。今シーズンはフルで出られるように体調を管理しながら、もっともっといい数字を求められるように頑張りたいと思う」

 日本時間15日のアスレチックス戦でメジャー通算100号となる7号本塁打を放った大谷翔平(27=エンゼルス)がこう言った。

あのゴジラ超え! 日本人メジャー最速100号

 日本人選手では松井秀喜(175本)、イチロー(117本)に続き3人目の大台到達。通算459試合目での到達は松井秀喜の636試合目を抜いて最速だ。

 昨季は46本塁打で最後までタイトル争い。投打の二刀流を評価されMVPも獲得した。いまや押しも押されもせぬパワーヒッターとしてメジャーでも認知されている大谷がプロ1年目から二刀流にチャレンジしたことに関して、日本ハムのスカウト顧問で元GMの山田正雄氏は以前、日刊ゲンダイにこう言っていた。

「周りにピッチャー専門の人がいれば、野手専門の人もいるのに『そんなこと(二刀流を)僕が最初からやっていいんですか?』とか、そういうことを言うじゃないですか、フツーは。けれども、何も言わなかったですね」「ご両親は心配していましたよ。『そんな両方やって迷惑にならないんですか?』とか、『いじめられたりしませんか?』と」「高校時代の清原和博や松井秀喜のように甲子園で騒がれるような活躍をしたのであれば、あれぐらい打ったのだからプロでできるだろうと思うかもしれませんけど」

 そして花巻東高時代から気後れしないタイプだったとも。3年夏に韓国で行われたU18世界選手権を視察したときにそれを痛感したという。メンバーは甲子園で活躍した選手が中心で、大半は関西出身。

「大阪弁は独特じゃないですか。一方的にまくしたてられたら、僕らでも気後れするというか、ひるんでしまうようなところがある。そんな中に東北育ちで、ひょろひょろっとした大谷が入っていってどんな反応を示すのか。そもそも大阪弁の輪に入っていけない選手もいますから」

 ところが、大谷は大阪弁の輪を通り過ぎるどころか、いつの間にか輪の中心で身ぶり手ぶり、選手の笑いを誘っていたという。日本ハムOBがこう言った。

「コーチのアドバイスなんかニコニコしながら聞くそうです。けれど、実際は右から左。必要ないと思えば、カドが立たないように聞き流していたといいます」

 大谷はつまり常識的な考え方をしないし、世界最高峰のメジャーの舞台だろうと萎縮せず、自分を貫けるタイプなのだ。

父親の「体を残して打つ」教え

 技術的には父親の教えが大きい。現在、金ケ崎リトルシニアの監督を務める父親の徹さんはかつて日刊ゲンダイの取材に、インコースはライト方向、アウトコースはレフト方向に打つこと。そして体を開かずに打つこと。この2つは小学生のときにマスターしていたと、こう言っていた。

「特に体を残して打つことに関しては、厳しく言っていましたね。野手は打球を遠くに飛ばさなきゃいけない。左打者が右肩を開いて打つとファウルになりやすいし、いくら力を入れても(打球は遠くに)飛んでいかないですから。壁をつくって打てといいますけど、足首も膝も体も開かずに打つと、ボールを呼び込んで打てますし、中堅から左中間方向への飛距離が出ますから」

 マドン監督が「打球が左方向へ飛ぶようになれば調子が上向く」と言っているように、中堅から左方向への本塁打が多いのが大谷の特徴。この日の100号も中堅左への一発だったし、それは子供の頃に身に付けた技術なのだ。前出の山田氏は高校時代の大谷が、春のセンバツで藤浪(現阪神)から放った本塁打より三直に仰天したとこう言っていた。

「打者は通常、スイングの始動時にクセがあります。足を上げたり、腰を動かしたり、ヒッチしたり……。ムダな動き、余計な動作がある分、始動が遅れるわけで、どうしても差し込まれがち。差し込まれないためには早く振り始めなければならないので、ボールを手元まで引きつけて打つのが難しくなる。が、大谷は違った。トップの状態からいきなりバットが出る。あのサードライナーがそうでした。ムダな動きがまったくないから、ボールを手元まで引きつけて打つことができる。ボールを迎えにいかないから、体も開かないのです」

牛乳を毎日1リットル

 体も強い。日本時間15日の時点で、メジャー最多の35試合に出場。35試合に出ているのは大谷を含めてメジャー全体で6人、ア・リーグでは大谷ひとりだ。しかも今季の6登板はすべて打席に立つリアル二刀流。3勝目をマークした同6日は前後の試合にフル出場、100号を打ったこの日もダブルヘッダーにフル出場した。

 社会人野球の三菱重工横浜でプレーした父親の徹さんは182センチ、バドミントンの全国大会で陣内貴美子と何度も対戦した母親の加代子さんは170センチ。193センチの大谷はバリバリのアスリートである両親のDNAを受け継いだ。親族はそろって背が高いという。

 寝る子は育つといわれるが、小学校やリトル時代は、暇さえあれば居間だろうがソファだろうがコテッと。起こしてもなかなか起きないほど熟睡したとか。中学時代は毎日、牛乳を1リットル飲んで3年間で身長が20センチも伸びたという。

 もともとのポテンシャルがデカいうえに、大谷は日本ハム時代からトレーニングに熱心。筋肉隆々の体はいまや、メジャーリーガーの中に入っても見劣りしない。

 大谷がメジャーであのゴジラを上回るペースで本塁打を量産しているのも納得だ。

■メジャー通算101号!2連連発8号

 大谷は15日、オークランドで行われたアスレチックス戦に3番・指名打者で出場し、初回に2試合連続となる今季8号の先制2ランを放った。大谷は前日、日本選手3人目となるメジャー通算100本塁打に到達。これが101号アーチになった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑