五輪談合事件で博報堂など新たに4社“ガサ入れ”…そして取りざたされる電通出身のキーマン

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 東京五輪パラリンピックのテスト大会をめぐる入札談合事件の強制捜査が、拡大だ。

 東京地検特捜部と公正取引委員会は28日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、広告大手「博報堂」など4社を家宅捜索。“ガサ入れ”を食らったのは計6社に上る。

 捜索を受けたのは博報堂のほか、広告大手「東急エージェンシー」、イベント制作会社「セイムトゥー」、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」。広告最大手「電通」とイベント大手「セレスポ」に続く捜索だ。

 談合が疑われているのは、大会組織委員会(清算法人に移行)が2018年に発注したテスト大会の計画立案業務に関する競争入札26件。計約5億4000万円で落札した9社1団体のうち、電通など少なくとも7社が受注調整に関与した疑いがある。

 調整を主導した疑いで、組織委運営局の元次長が25日に自宅を捜索されたうえ、別のキーマンの存在も取りざたされている。

「組織委内では当初、財務省から出向した大会運営統括の中村英正氏を中心に本大会の計画・運営も進めていく予定でしたが、会場数の多さや競技団体との折衝などの問題に対処できるノウハウを持っていなかった。それゆえ広告代理店にほぼ丸投げの形になりました。電通を筆頭に大手広告代理店には、大規模イベントの観客誘導や報道対応、警備などのノウハウが蓄積されていますからね。そこで、受注調整に主体的に関与したとみられているのが、運営局のテストイベント担当部長を務めていたN氏。N氏は電通からの出向者でした」(組織委元職員)

サッカー大会運営に実績

 N氏は現在、日本女子プロサッカーリーグの専務理事や全日本大学サッカー連盟理事などを務めている。サッカーの国際大会の運営などを手掛けてきた実績があるという。

「国際大会を含め、大規模なサッカー大会の運営は、電通の独壇場と言っていいでしょう。電通は五輪テスト大会の計画立案業務のうち、札幌や東京、宮城など競技場が多岐にわたったサッカー会場を一括で落札しています。業界内では『サッカー運営は電通』という、いわば“暗黙の了解”があるのです」(広告業界関係者)

 スポーツビジネスにおける「電通1強」の歪んだバランスが、談合事件の要因ではないか。真相解明には、まだまだ時間がかかりそうだ。 

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