「降格の規則ができていたら楽に取れた」双葉山が明かした“背水の重圧”

公開日: 更新日:

 不世出の名横綱・双葉山は、時代とともに神格化されてきた感があるが、実は人間味のある逸話が多く残っている。

 終戦直後、新興宗教にのめり込み、教団本部で教祖を守ろうと警官と大乱闘になって拘束された「璽光尊事件」の後には、「自分には学問がなかった」と我に返った。

 師匠・立浪親方(元小結緑嶌)との不仲や、ビールは1本で顔が赤くなるのにウイスキーは1本ぐらい軽く空けたという不思議な話もある。

 引退後に時津風親方となり、相撲協会理事になってからも、正直な胸の内を明かしている。1950年、横綱が2場所続けて負け越すか休場するかした場合に降格させる改革案を、協会が発表した時だ。

「不調の場合、大関に下げてもらえるなら、この規則が10年早くできていたら、私ももっと楽な気持ちで相撲が取れた」

 前年秋場所後に横綱前田山が不祥事で引退し、直後の50年春場所で羽黒山、東富士、照国の3横綱が全員途中休場して横綱批判が高まったため、まとめた降格案だった。

「相撲界で横綱は絶対権を持ってきた。その横綱であった自分がこの規則を決める一員であるのは誠に申し訳ない」と、心苦しさも語ったという。

 現役の照国まで「ありがたい。楽に取れる。大関からやり直す」と歓迎したそうだが、思いのほかマスコミや世論が反発し、撤回された。代わりにできたのが横綱審議委員会だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった