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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

青山学院大はなぜ強い? 第100回箱根駅伝で完全Vしかも圧勝のウラ側

公開日: 更新日:

 箱根駅伝を独自ブランドと認め、有機的に使う合理主義。その考えの根本が距離にある。

 箱根の1区間はハーフマラソン相当の21キロだ。マラソンでもなければ1万メートルでもない半端な距離で、そもそも世界には駅伝もハーフマラソンという公式種目もない。世界を目指すなら5000、1万メートルの記録を持つ必要があり、ハーフ(箱根)の強化は邪魔。邪魔なのに大事……箱根と世界が相いれなくなったところに登場したのが「原メソッド」だ。

 駒大、東洋大、早大、中大などは優秀なタレントを海外遠征させ、秋の記録会に出して世界の舞台に備える。原監督はとりあえず「世界」を棚に上げ、ロードのハーフに徹する。箱根ブランドにこだわり、ただ、選手の自主性を掲げ、将来に生かせる選択肢は残しておく。

 箱根駅伝の考案者、熊本生まれの金栗四三はハーフマラソンなど知らなかった。京都三条から上野までの日本初の駅伝「東京奠都50年記念駅伝競走」の区間に倣ったのだ。その奠都駅伝は、明治天皇の京都からの御東幸、1日=5~7里(約20~28キロ)に合わせただけ。原監督が正しいかどうかはともかく、100年前にハーフマラソンという概念も言葉もなかった。

 この距離こそ箱根駅伝の基本だ──原監督は箱根とは無縁の関西育ち。伝統をばっさり変えられるのは、得てしてよそ者なのである。

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