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菅谷齊東京プロ野球記者OBクラブ会長

1943年、東京都生まれ。共同通信社でV9時代の巨人をはじめ、阪神などを担当。1970年代からメジャーリーグも取材した。野球殿堂選考代表幹事を務めたほか、三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。現在は東京プロ野球記者OBクラブ会長。

黄金の左腕、400勝投手・金田正一の獲得に成功した国鉄の尋常じゃない奇策

公開日: 更新日:

 そこで金田は「家族の貧乏を救うため、中退して国鉄入りを決めた」。西垣によれば、手付金20万円。8月1日に17歳になった1週間後、金田少年を東京に連れて行き、契約(契約金50万円)を結ぶ。

 残り30万円の現金を手にした金田は舞い上がり、タクシーに何度も乗った。これが花のお江戸でのデビューだった。

 振り返ると事実は小説より奇なりだった。その第一が八事グラウンド。国鉄の持ち物で、管理人が社員だったこと。最大の奇策が“町中華”の協力を取り付けたこと。捜しまくった中日にすれば灯台下暗しだった。まともな獲得合戦ならば、老舗の中日に持っていかれただろう。

 57年8月21日、金田はその中日戦で完全試合を達成している。

 策士西垣は横浜平和球場(現・横浜スタジアム)での巨人戦の前、背番号34の金田に投球練習を命じた。ちょうど巨人の選手がアップを始めたタイミングでブルペンに向かわせ、「巨人の猛者たちがそのスピードに驚いていたよ」とは西垣の述懐。意識したお披露目だった。そして8月23日、金田は愛媛・松山の広島戦でデビュー。翌年から14年連続20勝と黄金時代を築く。 

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