著者のコラム一覧
菅谷齊東京プロ野球記者OBクラブ会長

1943年、東京都生まれ。共同通信社でV9時代の巨人をはじめ、阪神などを担当。1970年代からメジャーリーグも取材した。野球殿堂選考代表幹事を務めたほか、三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。現在は東京プロ野球記者OBクラブ会長。

伝説的なヤジに反発した鈍足本塁打王・野村克也がホームスチール! 実は7度も本盗成功している

公開日: 更新日:

 ドッと沸いた。当時の関西は鉄道親会社の4球団。セ・リーグ阪神に対し、パ・リーグには阪急、南海、近鉄。確かに阪神と阪急はキタの梅田に、近鉄は阿倍野に百貨店があったが、ミナミの南海にはなかった。見ている者が思わず膝を打つ絶妙なフレーズだった。

 これに反発したのか、南海の4番で捕手兼監督の野村克也がホームスチールをやってのけた。あの鈍足野村が、である。

 二回表2死満塁の場面。三塁走者の野村はカウント1-1から走り、先制点を挙げた。投手はのちに完全試合を達成する今井雄太郎だった。

 野村はご存じの通り、ホームラン打者として君臨したが、こと足の速さとなると、ムース(のそっとしたヘラジカ)の異名が表すような動作で俊足ではなかった。

 ところが実は計7度も本盗に成功しており、この阪急戦は初めての満塁、通算6度目の成功だった。さらに4カ月後の9月の西鉄戦(大阪球場)でも満塁でホームを陥れている。

“伝説的ヤジ”と“野村の快足”を見聞きした球史に潜む貴重な1試合だった。現在はヤジ規制、乱闘皆無。プロ野球の華にお目にかかることはなくなった。電鉄4球団のうち現在残っているのは阪神だけ。「デパートないやろ」のヤジは関西の地に永遠に残る。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  2. 2

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  3. 3

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  4. 4

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  5. 5

    日本語ロックボーカルを力ずくで確立した功績はもっと語られるべき

  1. 6

    都玲華プロと“30歳差禁断愛”石井忍コーチの素性と評判…「2人の交際は有名」の証言も

  2. 7

    規制強化は待ったなし!政治家個人の「第2の財布」政党支部への企業献金は自民が9割、24億円超の仰天

  3. 8

    【伊東市長選告示ルポ】田久保前市長の第一声は異様な開き直り…“学歴詐称”「高卒なので」と直視せず

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?