闘病生活を経て“鬼門の77歳”を乗り切り、命のありがたみを噛み締めながらサッカー界の今後を考えた
「放射線って……もしかしてがんなんですか?」
「はい、喉頭がんです」
その時、初めて喉頭がんと知らされた。でもショックを受けたり、取り乱したり、そういったことはみじんもなかった。
「がんか……ま、それはそれでしゃあないな。きちんと受け入れんとアカン。これからどうすればエエのか、気持ちを切り替えないとアカンな」
瞬時に前向きな気持ちになって先生に聞いた。
「で、ステージはナンボなんでしょうか?」
「ステージ1です」
ステージ3やステージ4と言われても動揺しなかったか、それは分からないが、仮にそうだったとしてもクヨクヨしてふさぎ込んだり、マイナス思考になったり、そういったことはなかったと自信を持って言える。
もちろんステージ1と言われ、ホッとしたのは事実ではあるが--。
自分で車を運転して入院したので退院時も自らハンドルを握り、ひとりで自宅まで戻った。