日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー
「縦幅の長いリストバンド」といえば、阪神タイガースの主砲・掛布雅之を思い出す野球ファンも多いだろう。そして現在では「リストバンドを初めて装着したのは掛布」というのが定説となっているが、掛布がリストバンドを着け始めたのは77年。当時掛布とアドバイザリースタッフ契約を結んでいたスポーツ用品メーカー・美津和タイガーの元社員によれば、「掛布から既製品の縦幅の短いリストバンドではなく、縦幅の長いリストバンドを作って欲しい、と要望があったので、既製品を製造していた都内のメーカーに外注し、特注品を作った」とのこと。
一方、森本は「何年かは覚えていないが、俺は既製品を阪急時代から使っていたよ」
森本が阪急に在籍していたのは76年まで。間違いなく森本が先である。阪急時代には、銀色のグラブを購入して使ったこともある。
また、当時スポーツ刈りが主流だったプロ野球界で、パーマをかけたのも森本が先駆者だった。70年代プロ野球の陰のファッションリーダーだったのかもしれない。
「アフロヘアに近いパンチパーマに、サングラス、口ヒゲ」――森本潔のアイコンというべきビジュアルはこうして完成したのである。
(中村素至/ノンフィクションライター)



















