著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(3)資力のない病人は生活保護が選択肢になりかねない

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 高額療養費制度には「多数回該当」による割引があります。直近12カ月の間に3回以上、高額療養費の限度額を超えた場合に、4回目以降の自己負担限度額が引き下げられる制度です。年収約370万~約770万円の中間層の上限額は8万100円ですが、多数回該当になれば、自己負担は4万4400円に引き下げられます。

 最近のがん治療では、バイオ医薬と呼ばれる効果が高いが薬価も高い薬が使われるようになりました。よく知られているオプジーボ免疫チェックポイント阻害剤で外来で投与するのが一般的)もそのひとつで、進行がんや末期がんの患者の余命を大幅に延ばしています。

 しかしその価格は、1カ月当たり約60万円です。3割負担で18万円ですから、中間層の人なら高額療養費の限度額を超え、1カ月の支払いは約8万3430円(実際には検査料、処方料、各種管理料などがかかるため、もう少し高くなる)となります。

 ただしオプジーボに限らず、バイオ医薬の多くは、がんを完全に消滅させることはほとんどなく、効果が続く限り使い続けるのが原則となっています。毎月8万円を超える出費が続くとしたら、家計が持ちません。しかし3カ月続けば、翌月からは4万4400円に減額されるので、なんとか持ちこたえられることでしょう。

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