山上公判で刑事裁判の限界を痛感 政治の罪は民意が裁くしかない【青木理 特別寄稿】

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 元首相銃撃事件で殺人罪などに問われた山上徹也被告(45)に対し、奈良地裁は1月21日、無期懲役判決を言い渡した。全16回の公判は私も可能な限り傍聴したが、結論を先に記せば、公判で垣間見えた重要事は多々あった一方、刑事裁判の限界も痛感させられた。ましてや検察の主張を丸呑みした判決は、この国の裁判が検察に追随しがちな悪弊そのまま、司法権の砦としての矜持を微塵も感じない代物だった。

■想像を絶する家庭環境、母も被害者

 まずは前者、一連の公判で見えた重要事である。すでに一部報じられてはいたが、被告の生い立ちや家庭環境はやはり、想像を絶する凄惨さだった。幼少期に父が自死し、兄も難病を抱え、不運な境遇に母も煩悶したのだろう、不安や恐怖を煽る勧誘を受けて統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に入信したのは1991年。それからわずか1年ほどで5000万円もの献金をむしり取られた。

 悪辣なカルトそのものの手口であり、父の自死後に一家が身を寄せた母方の祖父も怒り狂い、家庭内は凄まじいいさかいが絶えなかった。それでも母は信仰にのめり込み、祖父が急逝すると遺産まで教団に貢いでしまう。積みあがった献金総額は実に1億円──。

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