海外小説を読む楽しみ編

公開日: 更新日:

(東京創元社 1700円+税)

■「民のいない神」ハリ・クンズル著、木原善彦訳

 2008年、ウォール街で働くジャズは妻のリサと4歳の息子ラージを連れてカリフォルニアへ家族旅行に出かける。自閉症のラージの子育てで心身ともに弱り、夫婦の間にできてしまった亀裂を修復するのが目的だった。モハベ砂漠にそびえる3本の尖塔状の岩山ピナクルズを訪ねた一家だが、目を離したすきにラージが消えてしまう。先住民の間であの世とこの世を結ぶ場所とされるこの土地では、18世紀にキリスト教の伝道師が天使の姿を目撃、19世紀にはモルモン教の暗殺組織に属する男が飛行船に招き入れられ、20世紀半ばにはこの土地の放つエネルギーに吸い寄せられた男が円盤と遭遇するなどしていた。

 いくつもの時代と空間を往還しながら進む「超越文学」。

(白水社 2900円+税)

■「コカイン ゼロゼロゼロ」ロベルト・サヴィアーノ著、関口英子、中島知子訳


 地球の隅々にまで浸透するコカインを巡る現実を伝えるノンフィクションノベル。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋