本土の人間が「沖縄だからいいや」と差別している

公開日: 更新日:

 本土が占領から解放された後も、沖縄は四半世紀以上占領下に置かれた。そして、本土復帰以降も、多くの米軍基地が残され、駐留米軍基地の4分の3が沖縄に集中している。さらに、沖縄の基地の返還ペースは、本土の基地の返還よりずっと遅い。そのなかで、爆撃機の墜落事故や米兵による少女暴行事件が起きている。そうした歴史の上で、辺野古の新基地建設だ。

 本書が語るこうした沖縄の70年をみていると、本土の人たちが、「沖縄だからいいや」という差別を続けてきたとしか思えなくなる。

 もともと沖縄は琉球王国という独立国だった。戦うことを好まない琉球は、あっけなく薩摩の支配下に落ちた。沖縄の苦難は、そこからずっと続いているのかもしれない。だから、日本が本当に沖縄の人たちの心に寄り添おうと思えば、沖縄を戦いとは無縁の島にする。つまり、基地のない平和な島に戻すべきなのではないだろうか。著者もそのことを強く望んでいる。★★★(選者・森永卓郎)

【連載】週末オススメ本ミシュラン

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも