ムーン・ウォーカーズ

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 数ある都市伝説の中でも一番しゃれてると思うのが“月面着陸陰謀説”。1969年、「人類の偉大な一歩」という言葉で知られたアポロ11号の月面着陸が実は真っ赤な嘘だった、という有名な話だ。米政府の陰謀とか、宇宙飛行士が宇宙人に遭遇したのをもみ消したとかいろんな話がいまも絶えず、77年にはこれをネタにした映画「カプリコン1」がカルト映画にもなっている。そんな伝説をいま改めて映画にしたのが先週末封切りの「ムーン・ウォーカーズ」だ。

 この伝説、イギリス人が好んでジョークにしてきたが、今回のパロディーは仏ベルギー合作。そのためか英米をいっしょくたにからかい倒すタッチが楽しい。

 元の都市伝説では「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリックが米政府に頼まれて月面場面を捏造したと伝えられているのだが、映画ではCIA局員のヘマでキューブリックに依頼したはずが詐欺師にだまされていたという設定になっているのが苦笑させられるのだ。

 ジェシー・ウォーカー著「パラノイア合衆国」(河出書房新社 2700円)はこんな都市伝説の裏にひそむ「恐怖に恐怖する」妄想的心理がアメリカの政治的体質といかに不可分かを主張した、それ自体なかば都市伝説チックな本。陰謀よりも陰謀「説」に踊らされる人間の心情が、なんだかおかしくも哀しい。

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