「名医は虫歯を削らない」小峰一雄著
虫歯になったら歯医者で歯を削る。誰もが当たり前と思っているこの治療法が、実は歯を失わせる原因だと警告する。著者は、TBSの人気番組「これが世界のスーパードクター」でもお馴染みのカリスマ歯科医だ。
歯の表面はガラスのような性質を持つエナメル質で守られているが、ガラスに衝撃が加わるとヒビが入るのと同じように、虫歯を削ると歯全体に目に見えない無数のヒビが入る。そして、新たな虫歯になりやすくなるほか、やがてヒビが大きな亀裂となり、折れたり抜けたりしてしまうのだという。
だとしたら、なぜ多くの歯医者が虫歯を削るのか。答えは簡単で、現在の医療保険制度では歯を削らないと診療報酬がもらえず、長く治療に通わせた方が儲かるからだというから恐ろしい。
本書では、著者が推奨するドックベスト療法と呼ばれる最新の虫歯治療法も紹介。殺菌作用がある薬を虫歯の穴に詰めることで虫歯菌を死滅させ、歯の再石灰化を促すもので、すでに著者は2000人以上の虫歯を削らずに治している。歯の残存本数は寿命にも大きく関わるといわれる。今すぐ正しい虫歯治療を選択しなくては。(竹書房 1400円+税)