「『噛む力』が病気の9割を遠ざける」照山裕子著

公開日: 更新日:

 近年、高齢になっても元気でいるためには口の健康が重要であるという認識が医療界全体に広がってきている。そこで注目されているのが「オーラル(口の)フレイル(虚弱)」。口の機能が弱っている状態を指す言葉で、オーラルフレイルの進行と比例してちょっとした感染症が重症化したり、足がもつれて転倒して骨折し、そのまま寝たきりになるケースが増えてくることも分かっている。

 厚生労働省も、オーラルフレイルが始まっていないかを調べるための項目を発表。例えば、半年前と比べて硬いものが食べにくくなっていないか。これは咀嚼機能のチェックだが、歯で細かくした食べ物を唾液と混ぜてのみ込めるようにするまでが咀嚼であり、単に歯で噛めればいいというものではない。そのため、硬いものが食べにくくなったという人は、歯だけでなく唇や舌、頬の機能低下が起きている可能性もあるという。

 さらに、お茶や汁物などでむせるようになっていないか。口の健康には、嚥下機能が正常であるかも含まれる。通常、ものをのみ込むときには喉頭付近の筋肉が働き、喉が2~3センチせり上がり、気管に蓋をして異物の侵入を防いでいる。しかし筋力が低下して咽頭の位置が下がると、気管に蓋ができなくなり、むせやすくなるのだ。

 本書では、口の機能低下を防ぐためのトレーニングや生活習慣も紹介。長生きしたいなら、口の健康維持も重要だと心得よう。

(宝島社 1100円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も