「本屋風情」岡茂雄著
著者は、大正から昭和の初めにかけて書店と出版社を経営し、文化人類学や民俗学の名作を世に送り出してきた出版人。
その著者が、身近に接した学者や文人との思い出を語りながら、知られざる素顔をつづった回想録である。
大正15年、かねて出版を手掛けたいと願っていた南方熊楠に知人を介して執筆を依頼。その返事の手紙のあまりの長さと難読さに読むのに数日を要したという。以来、和歌山に住む南方との手紙のやりとりが始まるが、南方は文面の最初に書き始めた日時を分単位で記すほどきちょうめんだったという。深く親交を重ねた南方のさまざまなエピソードをはじめ、新村出と「広辞苑」誕生の裏話や、金田一京助や柳田国男ら、歴史に名を残す人物たちの生前の生き生きとした姿が蘇る。
(KADOKAWA 1080円+税)


















