「名人 志ん生、そして志ん朝」小林信彦著

公開日: 更新日:

 落語史にその名を刻む昭和の大名人、古今亭志ん生と志ん朝親子を論じた落語エッセー。

 昭和14年、5代目を襲名した志ん生は、長い不遇の時代を経て、昭和22年に大陸から引き揚げ後は脚光を浴び、昭和36年に脳出血で倒れるまで「志ん生時代」と称されるほどの人気を得た。志ん生は、その芸において「江戸っ子」を造形する必要がなかったという。なぜなら、彼の内部にすでにそれが存在していたからだ。

 一方、志ん生の次男として生まれた志ん朝は、外交官や歌舞伎役者に憧れたが、志ん生の反対で噺家の道へ。著者はその死を知った日のことを追想しながら、志ん朝の死は江戸から伝わってきた大衆文化のひとつである江戸弁による江戸落語の美学の死だと評する。

(朝日新聞出版 660円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?