「物流危機は終わらない」首藤若菜著
2016年に発覚した宅配業界最大手・ヤマト運輸のサービス残業問題は、トラック業界の深刻な人手不足を世に知らしめた。ネット通販などの宅配便だけでなく、トラック輸送は生産・製造現場から小売業者に届けられる年間総貨物量約47億トンの91%を担っている。しかし、ドライバー不足によって事業者は減車や総量抑制に追い込まれ、今、日本社会は物流が停滞する「物流危機」に直面しているという。
ヤマト運輸や長距離トラックドライバーなど、物流現場の労働実態を取材。規制緩和と過当競争、運賃の低下と労働条件の低下、働く者の権利よりも荷主や利用者の都合が優先される商習慣など、トラック業界の人手不足を生み出してきた社会構造を解き明かす。
(岩波書店 820円+税)