「育休刑事(デカ)」似鳥鶏著

公開日: 更新日:

 主人公は、男性刑事初の育児休暇を取得中の秋月春風巡査部長。職場復帰した妻にかわって、生後3カ月になる息子の蓮くんの世話に日々奮闘している。春風の姉は、蓮くん目当てで何かと春風のもとにやって来る。

 ある日、散歩中に姉に強引に連れて行かれた質屋で、強盗に遭遇して人質になってしまった。育児休暇中の刑事が強盗の人質になるという異常事態の中、蓮くんのミルクやおむつ替えの時間は容赦なくやってくる。果たして春風は、この状況下で解決策を見つけることができるのか……。(「人質は寝返りをする」)

 初めての子を授かった著者が子育てのリアルな体験をもとに挑戦した育児系本格ミステリー。前述の「人質は寝返りをする」のほか、「瞬間移動のはずがない」「お外に出たらご挨拶」の3編が収録されている。息子を抱いて歩き回ることで、誰もが警戒心を解いて普段より聞き込みがうまくできたり、親モードでいるがゆえに不審な点を見分けるセンサーが敏感に働いたりと、育児に携わったことがある人なら誰もがうなずくネタが満載。育休中の刑事ならではの活躍ぶりが楽しい。

(幻冬舎 1500円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

  2. 2
    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

  3. 3
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

  1. 6
    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7
    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

  3. 8
    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

  4. 9
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  5. 10
    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮

    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮