「女性のいない民主主義」前田健太郎著

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 日本の衆議院における女性議員は全体の10・2%で世界192カ国中163位。行政機関の上級管理職に占める女性の割合は、経済協力開発機構諸国の平均33%に対し、3・3%という少なさ。このように男性の手に政治権力が圧倒的に集中する日本の民主主義は、いわば「女性のいない民主主義」だと著者は言う。

 政治学においても、男女の不平等への言及は行われず、ジェンダーに関する問題は、従来の対立の構図とは異なる新たな社会問題の一例として位置づけられているだけである。

 本書は、そうした政治学のあり方に疑問を呈し、政治学の教科書に取り上げられている各テーマの主流学説を、ジェンダーの視点に基づいて検証。男性支配の日本政治を起点にした「男性の政治学」に一石を投じる。

 (岩波書店 820円+税)

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