「流浪の大地」本城雅人著

公開日: 更新日:

 大手ゼネコンの鬼束建設の新井は名うての「シールド屋」だったが、3年前の高速道路談合事件の首謀者の濡れ衣を着せられて以来、閑職についていた。そんなある日、日本初の統合型リゾート(IR)の案件を任せられることになり、新井は意気込む。その新井に元部下で今は建設コンサルタントの根元が近づいてきた。

 同じころ、中央新聞の記者・那智は、伝説の調査報道記者と呼ばれた伯父が残した黒塗りの建設工事資料と格闘していた。書き込まれたアルファベットや数字は何を意味するのか。やがて那智たちは、IR入札の不正を嗅ぎつけ取材に走る。そしてついに不正の証拠のカギを握る“スミス”とSNSを通して接触に成功する。

 一方、新井は、3年前の事件の際に接触してきた弁護士の徳山と会うのだが……。

 ゼネコンの闇と、政財界を巻き込んだIR開発を舞台にした長編小説。国内企業VS外資系IR事業者の対立、キーマンの正体など読み応えたっぷりの、国家謀略サスペンス。

(KADOKAWA 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ