「名もなき本棚」三崎亜記著

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 朝、始業まで20分の余裕をもって到着した「私」は、非常階段でビルの20階にある勤務先に向かう。ダイエットが目的ではない。1カ月前に急にエレベーターに乗りたくなくなったのだ。会社で制服に着替え、「会社の私」に切り替わるまでは誰にも会いたくないのだ。

 その朝も、非常階段で息を弾ませていた私は、17階と18階の間の踊り場にある本棚の本がすべて変わっていることに気づく。何でこんなところに本棚があるのかも分からず、利用されている様子もない。後日、下のフロアに用事があって非常階段を利用した私は、本棚の本を入れ替えている男性と出会い、思わず話しかける。

 ほか、回収日外に出された「会社員」の扱いに困るごみ集積場当番の主婦など、シュールで刺激的な19編を収録した掌編集。

(集英社 638円)

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